「うつむく少年」「うつむく少年」 少年は、カレンダーを見て鼻で笑った。 (ふん・・・・・・) かつてこの日を、心待ちにしたことがあったけれど。 今ではどうでもいい日だ。これほど価値がない日もないだろう。 (くだらねえな・・・・・) 吐き捨てるように呟いた。 少年は、いつものようにうつむいて、つまらなそうな顔で歩き出した。 しかし周囲は、この日ばかりは敏感で。 騒ぎ立てる人間を前に、少年はますますうつむいた。 (まったく何がそんなに楽しいんだか。気味がわりい・・・・) 居心地悪くしていると、ぽんと肩に友人の掌が乗る。 「ま、大丈夫だよ。いつものようにしてればいいさ」 安心しろと言いたげに、長い付き合いで見慣れた瞳が優しく細められる。 (こいつだけは、わかってんだよな・・・・・) 肩を叩いた友人は、周囲の喧騒から慌てて逃れるふりをして少年が真ん中に来るように、 さりげなく立ち位置を変えた。 少年に、少しでも顔を上げてほしくて。 ジャンル別一覧
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